ゲストボーカルでCRACK ROCKAHOLICに参加するというサプライズもありつつ、
オファーを受けてアニブイの3周年記念企画のオープニングアクトを務める等、
躍進を続けるオトウラ アオイ。ようやく待ちに待ったアルバムの制作も終盤を迎えるということで、上述のライブの感想も含め、近況をさぐってみた。
-----まずは11月の2本のライブ、お疲れ様でした。
オトウラ アオイ(以下、アオイ):お疲れ様でした~。
-----順番にお聞きしますが、クラロカ(CRACK ROCKAHOLICの略称)さんのライブにゲストボーカルで出演されたそうで。いつからそのようなお話が上がっていたんですか?
アオイ:クラロカさんがXでライブをするよって告知した時に、僕からアプローチしました。
-----あ、そうなんですか。クラロカさんがポストした動画にアオイさんの名前も出ていたし、アオイさんも「参加したいからいいねしてほしい」というようなポストを投稿されていましたよね。だからてっきりそれも含めての演出で、あの時点ですでに決まっていたのだとばかり思っていました。
アオイ:ぜーんぜん!うまいこと伏線になりましたね(笑)。リプをするときも少し迷って、冗談半分みたいなノリにしたんです。本気で「歌わせてください!」って志願して、「ごめん、そういう感じじゃないから」って断られるのが怖くて。それこそいいねの数が多いとか、周りの方の反応が良ければわんちゃん「アオイくんを使ってみようかな?」って思ってくれそうじゃないですか。
-----外堀から埋めていこうという考えだったと。
アオイ:結果的に言うと周囲の反応は薄くって。「まぁ、そりゃそうだ。僕に期待する人なんていないよね。」と思い知るわけですけど、NaojiroさんからDMが届きまして。「ほんとに歌うー?」って。「歌いたいです!」って言ったら、「じゃあよろしくー!」って流れで参加することが決まりました(笑)。外堀埋めるのに失敗したなーって思ってたんですけど、真正面から許しをいただけて良かったです。そっからはライブ映像と歌詞をいただいて、歌を覚えていく日々が始まるわけですよ。
-----アオイさんが歌唱した「I still」はまだ音源化されておらず、ライブでしか聴けない曲ですよね。
アオイ:うん。記録用のライブ映像しかないから、そこから音だけを抽出して、CDに焼いて繰り返し聴くんですけど、匡紀さん(前任のVo)が歌ってない部分があったり、歌詞が違ったりしてちょっとだけ惑わされました(笑)。そもそもね、匡紀さんとは歌詞のスタイルが違って抽象的な表現が多いから、繰り返し聴いても言葉が入ってこないんですよ。自分の曲の歌詞でさえ飛ばしまくってるのに、人様の歌詞だったら尚更ですよね。
-----アオイさんも抽象的な表現は多いともいますけど、言葉選びや系統が違う印象です。
アオイ:まさにそうですね。だから、改めて歌詞をしっかり解読する時間も設けました。この曲って、匡紀さんがバンドから脱退するより前に存在してるんですけど、「辞めよう、でもまだ歌っていたい」そんな葛藤を詰め込んだ曲なんだろうなって解釈してて。オーディエンスとして聴いた時は、キャッチーだし、シンガロングもあって爽快感がある曲だなって印象だったんですけど、一度しっかり理解すると、全く違う表情を見せるようになったんですよね。それもあって一部歌詞を変更しましたし、ライブ当日は「僕はまだ歌い続けていく」という決意を込めて歌うことが出来たなって思っています。
-----具体的に変更した歌詞は教えてもらえるのでしょうか。
アオイ:サビ終わりを「Call my name」にしました。「僕の名前を呼んで!」って。承認欲求高めですね。
-----匡紀さんとアオイさんとでは環境や立場も異なるので、歌詞が変わるのも自然なことなんだと思います。バンドでステージに立つのは気持ちよかったんじゃないですか?
アオイ:がむしゃらだったので、基本的には気持ちいいって感情ではなかったです。でも、やっぱバンドって良いなって気持ちにはなりましたよ。曲終わりにみんなでタイミング合わせて締めるとことか憧れだったし、あれは…気持ちよかったです(笑)。ありがたいことに僕の写真も撮ってもらってて、何枚か共有してもらったんですけど、ジャンプしたとこも写ってました。意外と高々と飛んでるように見えました(笑)。あとね、ちゃんとバンドでステージに立ったのって初めてだったんですよ。
-----久留米のほう(RISE UP)ではセッションでステージに立たれていませんでしたっけ。
アオイ:あれはあくまでセッションじゃないですか。練習もなく、その日出会った人たちとせーのでやるだけなので、正式なものではないというか。クラロカさんのゲストボーカルに関してはちゃんとスタジオにも入ったし、当日リハもしたし。心構えが違いますよね。セッションは良くも悪くも遊びなんですよ。セッションでも「かましてやる」って気持ちはあるんですけど、クラロカさんに関しては僕がライブ活動を始めた初期からお世話になっている方々なので、下手なことが出来ないっていうプレッシャーがありました。匡紀さんも見に来ることを聞いてたし、それこそ「ここで良いライブが出来れば加入させてもらえるかも?」という下心もあったり。
-----クラロカさんに加入したいという気持ちもおありだと。
アオイ:期間限定でもいいし、今回のようなゲストボーカルでもいいから定期的に参加できたらいいな…とは思ってます。匡紀さんが脱退される時期から考えていたんですけど、クラロカさんで試してみたい音楽性があるんですよね。それも「あの3人と一緒に」という前提があるんですけど。
-----どんな音楽をやるかも大事だけど、誰とやるかということですよね。
アオイ:うん。結局どっちも大事ではあるんですけどね。僕の思い描く音楽性は3人のしたいことと似て非なるものだろうなって感じてて。それこそあの3人が「アオイくんがやってみたいことを俺らもやってみたい」って言ってくれれば成立するんですけど、
おそらく彼らは音楽性ありきだと思う。その上で誰とやるか…じゃないかなって思うから、彼らを説得できる材料がないうちは大きな行動はできないし、する気はないですね。ここまで話しておいてなんですけど。それに、スタジオ練習や本番までの時間を一緒に過ごしてて「メンバー」にはなれないだろうなって感じました。
-----それはどういった部分で?
アオイ:技術面とか知識の部分も大きいですし、一緒にいる空気感が違うよねっていうふうには感じています。それは3人が悪いわけではなくてね。「メンバー」としてピタッとハマるのかハマらないのかってとこだと思うので。まぁでも本当に、機会をいただけるのであればまたライブに参加させてほしいし、作品を作るのであれば僕も協力したいし、3人のことは変わらず好きだし仲良くしたいですね。
-----是非是非アオイさんの活動の場は広げてもらいたいところです。ソロの方ではワンマンのオープニングアクトとしてアニブイさんと共演を果たされましたね。
アオイ:オープニングアクトとはいえ持ち時間もたっぷり30分ありましたし、小倉でも初ライブという事でね、気合が入ってました。
-----セットリストを拝見しましたが未発表新曲が2曲と、長崎で披露したっきりの「私以外死んでくれないかな」も含めてバラードなしの攻めの構成になっていましたね。
アオイ:セトリはかなり悩んだんですよ。本番のわりと近々まで。アニブイさんが鹿児島でのライブを見たうえでオファーをして下さったので、ちゃんと僕らしいライブを見せた方がいいんじゃないかって。そうなるとバラードも入れたい。でも、バラードを入れる必要があるのかって考えたら、要らないよねっていうのがあの時の僕の答えで。
それでバラードは一切やらずに、アップテンポな楽曲だけにしました。ただし、激しい楽曲を並べるだけだと、それこそ僕らしくないというか。自他ともに「オトウラ アオイは歌を届けるやつ」という認識があると思ってて。であれば、ちゃんとメロディーを届けつつもノリのいい楽曲を…と思ってつくったセトリがあれでした。
-----Xでもセットリストをどうしようか悩まれていることを発言されていましたものね。
アオイ:そう。結局、決め手としては、アニブイさんの周年ってとこでしたね。お祝いの場なんだから、バラードもいらないし、僕の想いを伝えるっていうのは二の次で、一番大事なことはあの場所を盛り上げる事だって気付いたんです。そういう役割を持っているのが「オープニングアクト」だよねって。服で例えたら、川にキャンプに行くのにスーツ着てブーツ履いていくわけないじゃないですか。それと一緒で、何が適しているかをしっかり判断できたなって思います。今となっては1曲目くらいバラードでも良かったかもなって思い返したりもしますけど、バラードをやらないってライブも僕としては新鮮だったので良かったかな。やってみないと見えてこないこともありますから。
-----今回のライブをして見えたことはありました?
アオイ:僕は、楽しませたいって気持ち以上に、何かを伝えたい・与えたいって気持ちの方が強いんだなって改めて思いました。初めてライブをした時は「会場でまた会いたい」という気持ちを、九州ツアーでは「僕の音楽が薬になってほしい」という気持ちを前提に、「後悔のない生き方をしてほしい」ことや、「一人じゃないんだぞ」ってことを伝えてきたし、主催イベントの時はそれらすべてを総括して届けようとしてたんじゃないかなって。今回はそういう伝えたいことは横において臨んだライブだったから、次にライブをするときはちゃんと伝えられたらなって思います。
-----その次のライブなのですが、2025年はライブのご予定はないのでしょうか?アルバムリリースツアーもあるということでしたが、詳細は伏せられたままになっていますね。
アオイ:そうですね…。早ければ12月からアルバムをひっさげた形で福岡集中ツアーを行いたいと思ってたんですけど、(取材時は11月中旬でした)各ライブハウス様の先の予定が立てられないということで、現在決まっているスケジュールは2026年になってからの1箇所だけの状況です。ツアーとは別の公演はひとつ決まってたりしますが、それは縁あって本当に偶然決まって。その公演は福岡集中ツアー後になるかな。ひとまず、もう一度関係各所に連絡をとって、スケジュールを出せるようにしたいです。九州ツアーのときの二の舞にならないよう、今度はしっかり全箇所のスケジュールが決まってから発表しますね。これも毎回言ってるような気がするけど、以前より今、今より未来とライブがより良くなっていっているので、是非ライブ会場に足をお運び下さい。そして、この熱をしっかり受け取っていただけたらと思います。